杉浦日向子さんの言う「江戸人」の生き方や思考が好きなのです。
「闘病」ではなく「平癒」(病は外からやって来るものではなくて、元々体内で共存していたものかもしれない。来てしまったら退散してもらうという考え)と言うのも、
不要な物は持たない(そもそも頻繁に大火で焼けてしまう前提で考えている)のも、
真・善・美だけではなく、偽・悪・醜という部分を受け入れていたことも、
八分目まで持って、足りない二分はレンタルで済ます、という精神も、
自宅は寝るためだけのもので、それ以外のもの(湯屋、キッチンなど)は全部「街」が持っていたというのも(なので狭い長屋でも問題ない)。
物を捨ててミニマリストとして生きると楽になる、というより、
杉浦日向子さんが言う、江戸人のように生きる・思考してみると楽になる、という方が自分的にはなんだかスッキリします。
10年前くらいに杉浦さんの著書にすっかり影響を受け、会社内でもキャリアプランなんてどこ吹く風。
仕事は二の次、人並みの生活ができて、時々旅に出られればそれでいいやーと構えて現在に至ります。
と言うのも、
自分の能力的に、プロフェッショナルの集団の中では一等賞にはなれそうもないから、それならば、自分には難なくできるけれど、他にはそれをできる人が存在しない場所へ身を置いた方が重宝されるのではないか、
と思い立ち実行してみてた、という感じでなのですね。
案の定、同じ案件で他の業務を行っていたかたたちがどんどんいなくなってしまっていく中、1人だけのほほんとしておりました。
周りに、よくあの案件やっていられるね?と散々言われましたが、逆に何が大変が分からなかったです...すみません...。
そんなどこかゆるりとした考えができる(ようになるかもしれない)、杉浦日向子さんの言う「江戸人」の思考の端っこを捕まえておければ、ちょっとだけ生きるのが楽になるかもしれないですよ。
また、現在のコロナ禍で、独善的な意見が振りかざされ社会全体が何だかとてもギスギスしているような感じがするのですが、杉浦日向子さんの著書を課題図書にすれば良いのになーと真剣に思います。
とは言え、友人曰く、「あの江戸はファンタジー」だそうです。
でも自分としても江戸の真実が知りたくてこれを読んでいる訳ではなく、もしかしたらそうゆう事もあったのかもしれない、くらいの感覚で読むのがちょうど良いのではと思っていますよ。
江戸だ何だと言う以前に、思考的にもとても素敵だと思えるので。
でも江戸人のこんな思考や生き方が真実なのだとしたら、何で日本人はそのまま現在に辿り着けなかったのかなぁ...とも思ってしまいますけれどね。