コロナ禍以前の都内某所。
仲良しの同僚くんと飲み屋に向かう道すがら、以下のような会話をしておりました。
もう一度観たいアニメがあって、Dアニストアを再登録しちゃってさー
へー何のアニメです?
え…Free!…
…あ。そーゆーの観るんすねー(意外)
分かっているよー。
普段ぎゃだむとか、人の業とか、不条理がどうしたって言っているのに、意外とミーハー(に見えてしまう)アニメとか観るですね~って言いたいんやろ?
でも聞いて!これには京アニのものすごーく丁寧な作品作りと、
地方移住を目指していたわたし自身のリアルと
そこで出会ったひとたちという、三部構成の物語があるんだよー、という話なのですな。
- 最初は純粋に「地方移住」が目的だった
- 同じく1人参加だった女の子ちゃんと知り合う
- 移住フェアのスケジュール
- 帰宅後一気観の上、当時ぎりぎり上映中だった映画へも足を運ぶ
- ご当地(とても楽しい経験)→アニメ→再び聖地巡礼(再訪)という逆パターンは印象に残り具合が半端ないぞ
- これらの出来事から3~4年は経っているのですが、未だに「Free!」を観る度に心臓がきゅーっとなる
- この経験があった上で、辻村深月の「島はぼくらと」を読むと更に感じ入るよ
最初は純粋に「地方移住」が目的だった
そもそも、京アニも「Free!」も鳥取も何もかもを知らずに、当時付き合っていた人と、地方移住とか良いよね~と勢いのまま、ビッグサイトで開催されていた地方移住イベントに参加したことに端を発しております。
なーんにも考えずに、とりあえずは
海が綺麗な場所で、1泊2日の移住フェア開かれるらしい(参加費無料!)
という情報だけをキャッチアップして、自由に有給がとれる自分だけ「現地視察」と銘打っていそいそと出かけて行った訳なのですよ。
現地にて、
こちらには、アニメとか観て来られたんですか?と当然聞かれた訳なのですが(当時それくらい流行っていたよう)、あ。いえ、すみません、それは知らないです…という何とも曖昧模糊とした返事をした自分。
しかも1人参加とは、結構な不審者だったのではないかと思います。
同じく1人参加だった女の子ちゃんと知り合う
そんな中で、同じく1人参加だった女の子ちゃんと(後で現地での地域おこし協力隊ほぼ確定メンバーだっと知る)、最初のバスの中で恐ろしく意気投合をしてしまいました。
海外旅とかそれに関するエピソードをバスの後部座席で2人でムチャクチャ話していた気がします。
初対面なのにあの勢い。
たぶんああゆう出会いを人は「運命」とか言うのではないかと思う。
他は最初から鳥取に絞って移住を考えているご夫婦もおられたり、
それ意外では、案の定聖地巡礼を一部目的とした女の子ちゃんズ×2が居たのですけれど。
皆メッチャ良い子で、話はおもしろいし、アニメだけかって言ったらそうでもないしで、何だなんだこれは…!という嬉しい驚き。
当時、彼氏と一緒に来なくて良かったかもとさえ思ってしまっていました(←酷い)。
移住フェアのスケジュール
移住フェアの内容やスケジュールは以下のような感じでした。
- 現地のおばちゃん、お婆ちゃんたちと塩&ゴハン作り
- 公民館での相談会(という名の飲み会)
- 移住してゲストハウスを開いているお宿に1泊
- 作り途中のシェアハウスの見学
- 現地を貸し切りバスで巡回して物件紹介
などなど、経験したことがないようなイベントが盛りだくさん。
その間、ずっと件の女の子ちゃんとと一緒だった訳なのですが、
フェアの内容も含めて、うわーすごい楽しい、これは生まれて初めての事だ、どうしよう!と、ある意味初海外旅行かというくらい、アドレナリンが出まくりだった気がしますよ。
人数も(年齢が近い者同士として)
- 女の子ちゃんズ×2
- 彼女
- 自分
とゆうのが良かったんだろうなー。
ちょうど割り切れる数字。
彼女が誰かと来ていたら、そこまで親しくなれなかった気がしています。
夜は宿泊させてもらったゲストハウスで、一部は「Free!」の話で盛り上がっていた訳なのですが、ユーモアセンスもありとても素敵な彼女らが、そこまで楽しい楽しいというアニメなら、帰ったら一度観てみるかなーと軽い気持ちでいたのですね。
帰宅後一気観の上、当時ぎりぎり上映中だった映画へも足を運ぶ
やっぱりちょっと一般向けではないかもなー、大丈夫かなーと、恐る恐る観てみましたら、案の定、京アニの作品作りが丁寧すぎて
目 眩 が し た …!
別の友人曰く、作品自体は全然良いと思うけれど、一部で狙いすぎている感(イケメン揃い)がちょっと…と言っていたのもある意味では充分に分かるですが、それも分かった上で、やっぱり丁寧に作られているとても良い作品だなーと思う訳ですよ。
- しっかりした背景(本当にご当地のままで感動する)
- 印象に残るBGM
- とても綺麗な水の表現
- しっかりと描かれたキャラクター像(女の子もちゃんと可愛い!)
- 描き下ろしのクオリティの高さ
- ドラマチックなOPのカット割り
などなど。
そこには、普段自分が好んでいる、
哲学的なものの見方とか、
各人の微妙な心の機微とか、
思っているけれど世情や立場ゆえに動くことができず、普段は冷徹に徹しているのに、その瞬間だけなぜか生まれた善意はどこから来るのかとか、
いやでもそもそも、そういった不確かなものこそが人間なのだよ、なんてゆう話は一切なかったのですが。
でも確かに圧倒的な何かはあった。
「雰囲気に呑まれる」ってこうゆう事を言うんじゃないかなと。
全話観終わった後に、いや待て。劇場版がまだどこかで上映していた気がする…!と結構郊外の劇場まではるばると観に行きましたよー。
(劇場でもらえるコースターは 怜ちゃんでした。)
ご当地(とても楽しい経験)→アニメ→再び聖地巡礼(再訪)という逆パターンは印象に残り具合が半端ないぞ
通常は、アニメ→聖地巡礼、という流れかと思うのですが、最初がリアルで(しかもたくさんの出会いでとても印象深くなった場所が)、後からアニメ内で反映されているのを観る、というのがちょっと不思議な感覚でした。
しかもどんなに京アニの作品作りが素晴らしかったとしても、最初に現地を知らなければ、自分にとって「Free!」がここまで印象深い作品にはならなかったのではないかと思います。
今まで本当にたくさんのアニメを観てきたような気がするのですが、何て言うんだろ。
細部に渡ってまでハイクオリティなアニメと、
とても楽しく印象的だったリアルな場所がクロスした経験、
というものは、今まで一度もなかった気がします。
当然今まで観た映画やアニメにも素晴らしい作品は多々あったのですが、でもそれらはあくまで「その作品のみ」で完結していて、リアルへとはみ出して来る部分は一切なかったのですよね。
これらの出来事から3~4年は経っているのですが、未だに「Free!」を観る度に心臓がきゅーっとなる
結局諸々あって当時付き合ってた人とは別れてしまい、結局移住もしておらず現在に至るのですが、未だに「Free!」を観ると、実際の海の綺麗さや、夏空の感じや、とにかく全てがムチャクチャ楽しかったことが思い出されて、心臓がきゅーっとなります。
そうしてまた岩美町に行きたくなってしまっている自分が居るのでした。
この経験があった上で、辻村深月の「島はぼくらと」を読むと更に感じ入るよ
辻村深月さんと言えば、ミスリードが出てくるちょっとミステリー風味のストーリーを書いておられる印象があるのですが、こちらは純粋に(とは言え、一部だけミステリー要素があるかも?)移住者が増えつつある島で暮らす子たちの、将来への不安や島への思い入れ、人間関係などを描いています。
彼彼女らや移住者たちの悩みや地域の抱える問題など、ムチャクチャ岩美で体験したことと、その後各所から聞いた話とオーバーラップするのですね。
こちらの感想もいずれ感想を書きたいと思っています。
あー、岩美に行きたい…!!!