「確認」した?

人生で大切なことは、自身での「確認」である、という心情の元、気になったもの・ことへは、全力で駆け寄って行きます。

「るろうに剣心〜明治剣客浪漫譚〜」(※アニメ版)について語ってみる

テレビアニメ版の「るろうに剣心」と言えば、どちらかと言うとこのイメージ

あらすじ

幕末に「人斬り抜刀斎」として恐れられた伝説の剣客、緋村剣心。明治維新後は「不殺」(ころさず)を誓い、流浪人として全国を旅していた。神谷薫との出会いや、同じ激動の時代を生き抜いた宿敵達との戦いを通じて、贖罪の答えと新たな時代での生き方を模索していく。

 (ウィキペディアより抜粋)

自分は原作ではなくテレビアニメの方をとんでもなく集中して観ていたので、今回はそちらのレビューとなります。
※全て個人の意見です。
※アニメ版が苦手なかたはご注意ください。
※ネタバレ含みます。

初期は観続けるのが厳しかった(色んな意味で...)

初期は作画やCVのかたの演技が若干アレだったりで、鳴り物入りで始まったわりには、ちょっとうううううーんと思ってしまいました。
でも途中途中で原作とちょっとずつ変えている物語の解釈の仕方は、初回の時点から絶妙なのではと、思っていたのですよね。
大枠は全然悪くないのだよなぁ、と思いながら観たり観なかったりしていました。

「京都編」へ突入する辺りから何かが変わり始めた

深い夜の京都のシーンから物語が始まるのが衝撃的だった「京都編」1話目(実質28話目)。
存在感が大きいものの、原作ではほとんど出ていなかった(という認識)沖田くんが動く動く。
沖田くんのCVは小粥さんという、これまた当時の普通のアイドル声優さんではないかたを当ててくるのが上手い。

「また、会いましたね、緋村さん、」

この、「また」という言葉選びも上手いと思います。
幕末の京都で、新選組と剣心は何度も戦っていて、それでも互いを殺す事はできずに、
それにより顔見知りになるって、ちょっとした皮肉でもあり不思議な関係性ですよね。
ここで沖田くんが偽悪的に微笑って、手にした花を握り潰す演出も時代劇的で良き。

また、これより前のシーンで佐幕の志士が剣心に斬られるのですが、コンテがその「死んでゆく者」の視点だったのが印象的です(血塗れの剣心が映ってからフェードアウトしていく)。

と、こんな過去の血腥い回想から京都編はスタートするのですが、この後京都編4話目までを(実質28話~31話)、スタッフのかたたちが大変に力を入れて制作していたような気がします。

徐々に周囲に漂って来る不安感や不気味さが、BGMやランプの灯り、夕焼けの道場の色合いなどの演出で見事に描かれていたと思います。

途中に差し込まれる日常オリジナルストーリーが良かった

始終シリアスな原作のストーリーとの間にちょこちょこ差し込まれていた日常オリジナルストーリーはテンポも良く、剣心たちの日常が垣間見えるようで楽しかったです。
洋犬を拾う、偽抜刀斎が出現する、箱根の宿で薫さんに惚れる画学生に出会うなどなど。
操と左之助がちょいちょい悪友っぽく、弥彦と左之助も同レベルでの友人という感じの原作にはない関係性も良いですね。

後半になるとすべてオリジナルストーリー(シリアス版)で展開される

恐らくアニメが原作に追いつき過ぎたのだと思いますが、
そこから、
敵がクリスチャン(天草翔伍編 67話~76話)、
忍び&海外からやって来た中世の騎士の登場、
すごい初回に出ていた由太郎くんの再登場(黒騎士団編 83話~88話)、
操ちゃんを京都から迎えに来る京都御庭番衆女性陣の活躍(89話)など、
時代背景や新しい登場人物、もしくは既存のキャラクター達を上手く使って、手を変え品を変え少年漫画的な設定とストーリー展開がとてもおもしろかったです。
これぞ時代劇エンターテイメント!
ある意味とてもジャンプ的ですよね。
ただ、剣心が元々鬼強いという設定である以上、彼はどちらかと言うと傍観者で、
主役は寧ろ周囲にいたキャラクター達だったような気がしなくもないです。

また当時、自分はアニメが好きなのだ!と言って憚らなかった
T.M.Revolutionの西川さんを「黒騎士団編」のCVとしてちょこっと出したりもしていたのが、自由な作品作りだなー、と思ったのを覚えていますよ。

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一部原作には存在しない人間関係も違和感なく描かれていた

後半の完全オリジナルストーリーからそうゆう事態が発生するのは当然なのですが、
寧ろ第1話からそれをやっていたのがすごいと思います。

  • 近所の町医者玄斎先生の孫という設定で、お子様2人(あやめちゃん、すずめちゃん)が道場に出入りしていて、剣心や左之介にも懐いている。
    →子供に好かれる男性キャラは素敵だ。
    そいであの時代設定で、更に道場で、おまけに薫さんが天涯孤独なら、気にかけてくれるご近所さんの1人や2人いますよねと。
  • 高荷恵と左之助の、時々見せ合うちょっとした好意の交換
    →原作にはすみませんなのですが、何で高荷恵が剣心の事を好きなのがよく分からんかったでござる...。
    「京都編」では、申し訳程度に原作と同じセリフなどを言ってはいたようなのですが、オリジナル要素を差し込んだ途端、それを全てなかった事にする勢いで独自解釈の人間関係をぶち込んでくるアニメスタッフよ...(そこがSUKI...!)。
    ED「夜明け前」の最後でも、さり気なく2人の視線を絡まさせたりしているのですよね〜。
  • 蒼紫が操の事をハッキリと気にかけている素振りを見せる
    →蒼紫は操のことを好き...なのですよね...?
    これもまた原作ではよく分からなかったのですが。
    オリジナルの天草翔伍編(67話~76話)で操が一人で敵地に乗り込んだ可能性に思い当たった時に、普段と同じく冷静そうに見える蒼紫に対して、
    「何をそんなに慌てている?」
    と翁に言わせてしまう脚本がすごいぞ。
    (冷静な蒼紫様が慌てる→メッチャ操ちゃんのこと気にかけているじゃん!という妄想が働く)

アニメーションスタッフやキャストに愛されている作品という感じがした

スタッフが楽しんでオリジナルストーリーを作っている雰囲気と、
当時とんねるずの番組にゲストで来ていた涼風さんが(別時代劇の番宣で来てた)、
剣心の事を嬉々として話していたのが印象的だったのですよね。
楽しんでお仕事をしていらっしゃる感じがファンとしても嬉しかったのを覚えています。

そうして「1/3の純情な感情」(SIAM SHADE)のEDの作画に、ちょこっとだけ巴さんを出したり、
ステンドグラスが映った教会内の床に、刀のシルエットを十字架のように描いたり(天草翔伍編=クリスチャン=十字架、という演出)、
「t's gonna rain!」(BONNIE PINK)のEDでは、アニメ絵とリアル写真を組み合わせたりと、
何かちょっとした部分での演出上手さにも愛を感じました。

 

やはり元タカラジェンヌの演技力は素晴らしいのだなと


途中から剣心のCVであられる元タカラジェンヌ・涼風真世さんを始め、主役2人の声の演技が上手(というか声優業に慣れた、というイメージでした)になり、
それと同時に作画のレベルも目に見えて上がって行ったような気がします。

最終的には映画上映時には学校をサボって舞台挨拶へ赴き、
更に涼風真世さんが純粋な音楽活動として発売したCDも買ってしまうという入れ込みっぷりとなりました(こちらに収録されているシングルを当時購入した)。

当時「るろうに剣心」をアニメ化するよーとなった時、剣心のCVは緒方恵美さんでしょ、という雰囲気だった所、
なぜか涼風真世さんを引っ張って来たキャスティングに賛否両論あったような気がするのですが、
今となっては剣心のCVは涼風真世さん一択です。

声が綺麗すぎて、それによりとんでもなく凄みが増す冷徹な響きと、真逆の優しい話し方が、他には代えがたい...。

真矢みきさんなども観ていて思うのですが、宝塚のかたはやっぱり声の深み、みたいなものが全然違うのですよね。
これは別に緒方恵美さんがダメとか言うのではなく、
たぶん単純に宝塚が声優さんとはある意味全然違う畑の事をやって来ていて、
更にそれが日本の中でもハイレベルなのだという事だと思います。

納得できる「物語の別解釈」と、スタッフ愛に溢れた時代劇アニメだった

初期に感じていた、別解釈の脚本作りは結局最後まで変わることなく物語に反映され続けていて、それがこの作品をずっと観続けた最大の要因だったと思っています。
それぞれのキャラクタの行動心理をすべて納得できるよう、独自に消化させていた物語作りだった、とでも言うのでしょうか。

原作が大人気だっただけに、たぶん大人の事情等が色々あったのではと今となっては思うのですが、それでも当時ムチャクチャ楽しい思いをさせてもらいました。

着物については残念ながらあまり見どころがなく…、
薫さんがもっと可愛い格好をしても良かったんじゃないかなーとか、
操ちゃんの後ろのリボン(帯)をもっとデコラティブにして欲しかったとか(DVDのジャケットではやってくれてた)、
全体的に着物特有の情緒、みたいなものをもう少し出して欲しかったち言えばそうなのですけれど。

とは言え、最近は実写映画版に押され気味かもしれませんが、アニメ版もとても良い作品ですので、ご興味のあるかたはぜひ~!

 

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